明治天皇百十年祭並びに明治天皇御生誕百七十年祭記念
【日本刀の匠(たくみ)展】開催趣旨
公益財団法人日本刀文化振興協会
会 長 柳井 俊二
理事長 吉原 國家
本年は、明治天皇が崩御になって110年、また御生誕になられまして170年を迎える記念の年にあたり、「日本刀の匠展」及び同展に係る行事を明治神宮に奉納させていただくことになりました。
神話の世界から脈々と、刀剣は日本の文化伝統の根底として伝わってまいりました。世界に類を見ない、126代の今上陛下まで連綿と続く天皇の皇位は三種の神器(剣・勾玉・鏡)と共にあり、それが象徴しているといえるでしょう。
しきしまの大和心をみがかずば
劍おぶともかひなからまし
この和歌は、明治37年に明治天皇が詠まれたものです。明治天皇は常に刀をおそばに置かれ、ご覧になっていたというご逸話が残っています。日本は明治時代の45年間で飛躍的な発展を遂げ、世界に並ぶ近代国家を築き上げましたが、その中心には、常に国のため、国民の幸福のために祈られた明治天皇がおられました。
国歩多難の時勢、ご政務の合間に刀をご覧になられ、このような御製を詠まれた明治天皇の大御心は恐れ多く、現代に生きる私共もよくよく拝すべきかと思います。
本展覧会は、「明治天皇と日本刀」について広く内外に示し、現代の刀職者による作品展示を通じて、日本刀文化への理解を深めていただくことを趣旨として、明治神宮宝物殿で開催いたしました。
日本刀に関するこのような展示及び鍛錬行事を明治神宮で開催することは初めてのことであり、刀剣界はもとより国内外においても注目されるものと存じます。
本展の趣旨をご理解いただき、数々の作品をご鑑賞いただけましたら幸いです。